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デジタルカメラに思うこと(11)---『明るい暗室』と写真展 [column]

前回『世界の自然大写真展』(7)で、デジタルのフィルムに対する優位性は『明るい暗室』であると書きました。このことをもう少し写真展に関して掘り下げて考えてみようと思います。

『明るい暗室』とは、単なるパソコン上のフォトレタッチのことだけではなく、カメラマンが本来有していた「現像する権利」や「プリントする権利」の回復という意味も含んでいると書きました。
私はフィルムしかなかった時代にカラー(ポジもネガも)でも現像からプリントまで自分でやっていたことがあるので、デジタルになってからの『明るい暗室』という言葉に格別のありがたみを感じたものでした。初めて買ったパソコンにもPhotoshopをすぐにインストールしたのは言うまでもありません。

ところが、現在多くの写真展ではまだプリントはラボに任せる方が圧倒的に多いでしょう。

理由はいろいろあります。まずフィルムの人と混在なのでそのことからまずラボを通すことになってしまう。また、デジタルの人も前回書いた、撮りっぱなしでフォトレタッチを殆ど出来ない人も多い。普通の写真ならデジカメ撮って出しのJPGをそのままプリントしてもそこそこ行けますが、光の状態が微妙なネイチャー写真では色や明るさ・コントラスト等を調整しないと見栄えのする写真にならないことも多い。その他にもプリントしたものを額装しなければならず、その関係からすべて業者に任せてしまう。

今回のA1写真展のような大きさでは、確かに自前ではプリント出来ません。しかし、多くの普通の写真展は半切ぐらいなので一般に普及しているA3ノビ・プリンターで面積的にも必要十分です。出来上がりもラボの印画紙出力に劣りません。

ここで今回の『世界の自然大写真展』に話を戻しますが、写真が大きいだけに、プリントを自分の思い通りにやってもらえないことがどんなに苦痛であるかを味わいました。

見本プリントをちゃんと付けたのに全く忠実にプリントしてもらえませんでした。私の基準では全てやり直しでしたが、ラボの担当の人が単価が余りにも安いので「やり直しは1枚で勘弁して欲しい。」と言われ仕方なく同意しました。

後日、私の10点の出展写真について解説して行く予定ですが、順番1番目のペリカンの写真など白飛びが酷く、会場で見ていてとても恥ずかしかったです。やり直した9番目のライオンの母子の写真以外は全て焼きが浅くしまりが無かったです。

思うにこれは、デジタル・データの出し方が様々(撮りっぱなしデータとレタッチ済みデータとの混在)なのと、やはりプロラボ側のデジタルに対する勉強不足、研究不足があると思います。少なくともインクジェット最高級紙による見本プリントを付けても色や濃さが全然違ってしまうのでは全くプロの仕事とは言えません。これは発注単価が安かったからではなくプロとして恥ずかしい仕事しか出来なかったということに他なりません。

そんな出来が悪い私の出展プリントでしたが、現場では結構人気があり、多数製作注文が来ました。自分の所にも1枚づつは残しておきたいので売れたものは全て焼き増ししたのですが、その焼き増しさえもなかなか一発では希望通りには行きませんでした。ただ焼き増し料金は5割り増しだったので指示は厳しくして気に入らないものは全て焼き直してもらいました。

そんなわけで、個人的に人に見せる写真は自分でプリントするので、葉書サイズからA3ノビ・サイズまで自分の機材の限界まで能力を引き出せるのですが、写真展では最後のプリント部分をラボに任せなければならないので、「予算の都合でこれで我慢して下さい。」みたいなことになると、折角のデジタルの利点、『明るい暗室』=『カメラマンの権利』が最後の部分で実現されなくて、非常に歯がゆい思いをするのでした。

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